そして男は時計を捨てた・・・ひとり編集長の冒険

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言葉は精神を形づくる重要な要素

言葉は精神を形づくる重要な要素・・・そしてどんな言語を使うかということとアイデンティティーは深く結び付いているのです。


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宮内悠介の「カブールの園」に収録された2編は、言葉とアイデンティティーをテ-マに据えた小説です。



表題作は日系3世で30代の女性レイが主人公です。大学時代の仲間たちと2年前にアメリカのサンフランシスコで会社を起業し、その会社で働きながら、自分に巣食うトラウマの治療を受けています。



彼女の抱えるトラウマの原因・・・その原因は小学生の時の記憶にあります。同級生から虐げられていたのです。四つん這いにさせられ、尻を叩かれてブタの鳴き真似をさせられたのです。しかし、彼女はこのことを母には言いませんでした。娘に期待をかける母の前では優等生を演じ続けていたのです。


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レイは会社から求められて取った休暇で、戦時中に祖父母がいたマンザナ-強制収容所の跡地を訪れます。そこで、日系1世が経験した苦難を知ります。



農場経営をやろうと日本からやって来た祖父母は、戦争が始まると住み慣れた家を追われて、収容所に連れて行かれたのです。戦後になって娘に日本語を伝えようとしたのですが、うまくはいかないままに祖母と母の関係はねじれていき、解きほぐすことが出来なかったのです。


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自分のル-ツを辿る旅・・・その旅の途中で、レイは日系1世たちによる同人誌を手にします。同人誌のあるぺ-ジの見出しに「伝承のない文芸」とあり、2世たちの多くは日本語を話さない・・・時間的な縦の伝達作用を期待することが出来ない文芸の寂しさを訴えている文章が載っています。



レイはこの旅を通して、小学生の時に受けたいじめは、人種差別だったことに気付きます。それと同時に、それはレイにとって受け入れがたい事実だったのです。


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しかし、日系人として生きた3世代の苦しみの連鎖を脱して、レイは新しい一歩を踏み出そうとする。その一歩は確かな一歩で、吹く風はとても爽やかに彼女の髪を撫でているのです。