「靴ひも」 (2020年イスラエル 監督 ヤコブ・ゴ-ルドヴァッサ- 出演 ドヴ・グリックマン ネボ・キムヒ)
自動車整備工場を営み、ひとりで暮らしているル-ベン(ドヴ・グリックマン)は、元妻の訃報に接します。そして残された息子のがディ(ネボ・キムヒ)と暮らすことになります。
しかし、実はガディには発達障害がありました。ただ、障害の程度はさほどではなく、洗車はとても上手にこなし、行きつけの食堂の女性に恋心を抱き、私たちと同じように喜怒哀楽を生きる人間です。ただ、ほんの少しだけサポ-トが必要なのです。
ですが、持病を抱えて暮らすル-ベンにとって、ガディとの暮らしは決して楽ではありませんでした。ルーベンはガディを早く施設に引き取ってもらおうと、そして給付金も下りるようにと、ガディに自分の靴ひもを上手く結ぶことが出来ないフリをさせようとします。
この靴ひもを結ぶという動作がこの映画では3度出てきます。そしてその意味はその度ごとに変化して、感動を呼び起こすのです。
私たちは誰しも時に強者として、そして時に弱者として生きています。だから、強者は弱者をサポ-トしなければならないのです。
本作はたとえ障害者であっても温かい心で他者をいたわれることを教えてくれる美しい映画です。監督ヤコブ・ゴ-ルドヴァッサ-は自らも障害者の父なのだそうです。