そして男は時計を捨てた・・・ひとり編集長の冒険

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ゴリラはなぜ胸を叩くのか・・・ 気になりませんか?

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1933年にキングコングが銀幕に登場した時「胸叩き(ドラミング)」というゴリラの行動を世界中の人々が知ることになりました。




しかし、ゴリラのオスがなぜ自身の胸を叩くのかについては、科学者による推測はあるものの、確かな証拠はこれまでほとんど見つかっていませんでした。



それは非常に印象的な行動で、ちょっと怖い感じもあります。彼らの邪魔になりたくないと思うでしょう」と、ドイツのマックス・プランク進化人類学研究所の霊長類学者、エドワード・ライト氏は言います。



ライト氏の新しい研究によれば、マウンテンゴリラのオスの胸叩きは、体重200キロにもなるゴリラ同士の争いを防いでいる可能性があるといいます。数年がかりでゴリラの胸叩きを研究した成果が、学術誌『Scientific Reports』に2021年4月8日付けで掲載されました。



マウンテンゴリラは、シルバーバックと呼ばれるおとなのオスを中心とした、緊密な血縁グループで暮らしています。



しかし、シルバーバックはいつでも他のオスから挑戦を受ける可能性があるのです。なので、自分の体格、繁殖できる状況にあること、戦闘能力などを、音で遠くまでアピールして、これから挑戦しようとする他のオスたちに考え直したほうがいいというシグナルを送っているのです。



ライト氏らは、この行動を詳細に調べるため、アフリカ、ルワンダの火山国立公園で、絶滅危惧種のマウンテンゴリラを3000時間以上にわたって観察したのです。



チームは、2014年から2016年にかけて、25頭のオスにおける500回以上の胸叩きを記録しました。ゴリラたちは研究者の存在に慣れてはいるものの、ヒトから病気に感染する可能性があるため、安全な距離を保って観察を行ったのです。



研究では、胸叩きの周波数、叩いた回数と持続時間を記録しました。また、写真からゴリラの各個体の肩幅を測定し、音のデータと体格との関係を調べました。



その結果、体の大きなマウンテンゴリラは、体の小さな個体よりも低い周波数の音を出していることがわかったのです。



大きな個体は、のどの辺りの気のうが大きいためだと考えられています。つまり、胸を叩くことは単なる視覚的な表現ではなくて、ワニの低い声やバイソンの唸り声とも共通する、「競争力を示す正直なシグナル」であるといいます。



これまでの研究から、ゴリラの体格が集団内の順位や繁殖の成功に関わっていることはわかっています。しかし、胸叩きがそうした情報の一部を伝える役割を果たしているという今回の研究成果は、これまであくまで推測の域を出ていませんでした。



「そうだろうと予測してはいましたが、この主張を裏付ける実際のデータはありませんでした。今回の結果を見られて、うれしく思います」と、米ジョージア大学の霊長類行動生態研究所所長、霊長類学者のロバータ・サルミ氏は語ります。氏は今回の研究には関わってはいません。



映画などでよく見かけるゴリラの胸叩きですが、まだまだ誤解されていることがたくさんあります。



まず、本物のゴリラは、拳を握って胸を叩くことはありません。手をカップ状にして叩くことで、音を増幅させています。また、ゴリラは座った状態から立った状態になって胸を叩きます。1キロ離れた場所でも音が聞こえるのは、こうした工夫のおかげかもしれません。



シルバーバックが最もよく胸を叩くのは、メスが発情期を迎えて交尾の準備が整っているときです。しかし、映画などでよく描かれるように、オスが一日中胸を叩いているわけではないのです。



むしろ、ライト氏の調査では、オスたちは10時間に平均1.6回しか胸を叩かなかったのです。また、下位のオスも胸を叩き、オスの赤ちゃんも遊んでいるときに胸を叩きます。



オスの大きさや順位と、胸を叩く回数や持続時間には関係がないようです。しかし、一連の胸叩き行動は、他個体にその個体のアイデンティティ、つまり「個体の特徴」を伝えている可能性があるといいます。



ゴリラは巨大な筋肉と長い犬歯を持ちますが、実際のケンカをすることはほとんどありません。その理由の一つは、胸を叩くことで、接触することなくお互いの大きさを知ることができるからだと、ライト氏は考えているようです。



「勝つ可能性が高かったとしても、ケンカにはかなりのリスクがあります」


「力の強い動物ですから、互いに大きなダメージを受ける可能性があります」



小柄なオスは、シルバーバックの胸叩きを聞いて、接近することを躊躇するかもしれません。同様に、シルバーバックは近くにいる小さなオスの胸叩きを聞いて、相手にするにはちっぽけすぎると判断するかもしれないのです。



胸叩きの周波数は体格と相関があり、体格は集団内の順位や繁殖の成功と関わりがあります。



つまり、メスのゴリラも胸叩きに耳を傾ける理由はたくさんあるのです。格別な胸叩きは、甘い歌声で船員を惑わす妖精の歌のようにメスを誘い込むことがあるかもしれませんが、これについてはまだ研究されていないのです。



サルミ氏は、近縁種であるニシローランドゴリラの胸叩きについて研究していました。興味深いことに、このゴリラでは、危険を知らせるために手を叩く行動が見られていますが、マウンテンゴリラではこれまで観察されてはいません。



今回新たにわかった研究結果をふまえてみれば、次のステップは、胸叩きに含まれている情報を他の個体がどのように利用しているかを調べることかもしれません。



行動圏内のどの場所を使うかについて、胸叩きの音が移動や意思決定にどのような影響を与えているのか?



さぁ、ゴリラって何か興味深さを感じませんか・・・😲