そして男は時計を捨てた・・・

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人はなぜ「キモい」と感じ、キモいものにも魅かれるのか

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病気を防ぐのに有利な嫌悪感・・・その一方で「キモいもの好き」に利点もある・・・それは何故なのでしょうか?



嫌悪感は多くの場合、人を病気から守るといいます。しかし、少し汚れることにも利点はあります。例えば、犬と触れ合った1歳未満の子どもは喘息になる可能性が13%減少する、という研究もあるのです。



「気持ち悪い」と感じることには進化上の意義が存在するのです。1860年代後半、チャールズ・ダーウィンはそう提唱しました。



嫌悪感は先天的かつ無意識的なもので、私たちの祖先が腐敗した食物を食べて死んでしまわないように進化したのだと・・・



ダーウィンは、初期の人類のうち、そうした嫌悪感を抱きやすい者は生き残って遺伝子を残し、食において大胆な者は生き残らなかったという仮説を立てたのです。




その後、長らくの間、科学者たちは嫌悪感というものにあまり注意を払いませんでした。心理学や行動学の研究で嫌悪感が注目されるようになったのは、1990年代初頭からです。それ以降、科学者たちは様々なタイプの嫌悪感を特定して、人間の行動にどのように影響するかを研究するようになったのです。




研究によれば、ダーウィンは基本的に正しかったのでしょう。嫌悪感は「行動免疫システム」の主要な要素なのです。行動免疫システムとは、最も原始的な本能によって起こる、私たちの体を最良の状態に保つ行動の集合体のことをいいます。




「健康という観点から言うと、嫌悪感は感染症にかかることの少なさと関連しています。なので、病気に関連する状況では有益な感情です」。



米ミシガン大学の心理学准教授ジョシュア・アッカーマン氏はそう述べています。



例えば2021年1月20日付けで学術誌「Frontiers in Psychology」に発表された研究では、嫌悪感を抱きやすい人たちのほうが、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)期間中に健康状態が良い傾向があったと報告されています。おそらく、手洗いなどの清潔を保つ行動を取ることが多いからです。




しかし、嫌悪感はダーウィンが想像していたよりもはるかに複雑です。研究によれば、私たちの嫌悪感は、生まれつきの反応と、文化や環境に依存する様々な人生経験に起因することがわかっています。




人によっては嫌悪感が行き過ぎてしまい、有益な菌が豊富に含まれる発酵食品が食べられないなど、健康維持に役立つはずのことができない場合もあります。




嫌悪感は、見慣れない食べ物などを嫌うこととも関連しているので、諸刃の剣になってしまうこともあります。実際には健康や免疫機能を向上させるかもしれない食べ物もあるわけです。



嫌悪感のルーツはどこにあるのでしょうか?



2005年、人類学者のチームが、エクアドルのアマゾン熱帯雨林に、かつて敵の首を狩って干し首を作ることで知られていた先住民族、シュアール族を訪ねました。



現在のシュアール族はそうした風習を否定していて、商業や観光を受け入れているほか、シュアール族の生活様式から学ぼうとする世界中の科学者たちを歓迎しています。米コロラド大学コロラドスプリングス校の寄生虫専門家タラ・セポン・ロビンズ氏も、そうした訪問者の一人でした。



ダーウィンが嫌悪感についての仮説を記してから約150年後・・・セポン・ロビンズ氏は、人間が病気から身を守るにあたって、文化、環境、感情がどのように影響するかを研究しようとしていました。



それまでの同様の研究は、工業化した国や地域の文化を対象としたものばかりでしたが、嫌悪感がもつ進化的な意義をより深く理解するためには、私たちの祖先の生活に近い、病原体の多い環境で調査を行う必要があったのです。




霧深いアンデス山脈の奥深く。調査に参加したシュアール族の人々の中には、土間床の伝統的な小屋に住む人もいれば、コンクリートの床と金属の屋根がある家に住む人もいます。



多くの人が狩猟、釣り、園芸、採集など、自給自足のための活動を行っています。どれも、排泄物で汚染された土壌で繁殖する回虫や鞭虫などの病原体と接触する可能性があります。セポン・ロビンズ氏は、75人の参加者を対象に、彼らが何に嫌悪感を抱くかを調査したのです。




「彼らが最も嫌がったのは、排泄物を直接踏んだり、キャッサバ(ユカイモ)を噛んで吐き出して作るチチャという飲み物を飲んだりすることでした」とセポン・ロビンズ氏は言います。



チチャは伝統的な発酵飲料で、中でも質素な暮らしをしているコミュニティーでは主な水分補給源の一つです。



回答者たちが嫌悪感を抱いたのは、チチャそのものではなく、チチャを作った人についてだったのです。



「病気の人や虫歯の人が作ったチチャを飲むのは嫌だということでした」



その後、参加者の血液と糞便を採取し、健康状態と嫌悪感のレベルを比較しました。2021年2月23日付けで学術誌「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」に発表された論文によれば、嫌悪感受性が最も高い人たちは、ウイルスや細菌の感染が最も少なかったといいます。



調査対象となったコミュニティーでは、土や泥といった、先進国の人々が汚いと感じる可能性があるものを避けられません。そのため、嫌悪感受性が高くても、より大きな病原体である寄生虫から身を守ることはできていませんでした。



それでも嫌悪感は、病原体を媒介しうる排泄物との接触を最小限に抑えるのに役立っていたといいます。このことから、セポン・ロビンズ氏は、ダーウィンの仮説の通り、嫌悪感は私たちの祖先を病気から守るために進化したのではないかと考えているのです。



もしそれが本当なら、なぜ多くの子どもたちは気持ち悪いものに熱中したりするのでしょうか・・・



そこがダーウィンの理論がもつ少々意外なところかもしれません。子どもが「キモい」ものを好んでしまうのは、進化上の利点があるからかもしれません。




細菌のすべてが私たちにとって悪いものとは限らないことは、よく知られています。腸内細菌から皮膚の常在菌に至るまで、微生物は私たちの免疫系と協力して体の均衡を保ったり、病原体から私たちを守ったりといった様々なことをしてくれています。



また、子どもたちが土に触れたり動物と触れ合ったりして、多少の汚れにまみれることは、病気に対抗できる強い免疫系を作るのに役立つことが科学的にわかっています。



汚れるというより、子どもたちが周りの世界と付き合えるようになるということなのかもしれません。



1歳未満ほどで犬と触れ合った子どもは、喘息(ぜんそく)になる可能性が13%減少し、農場で育ち、たくさんの動物と触れ合った子どもの場合は50%も減少することもわかっています。そうした触れ合いは、実は慢性的なアレルギー疾患を防ぐ上で非常に重要なことかもしれません。



少なくともある年齢までの幼少期は、免疫系にとっての訓練期間なのです。2014年に学術誌「Evolutionary Psychology」に発表された研究によると、ほとんどの子どもは5歳頃から嫌悪を感じるようになるといいます。



その頃はちょうど、RSウイルス(呼吸器合胞体ウイルス)や、下痢を引き起こす微細な寄生虫であるジアルジアなど、より危険な微生物にさらされる可能性が高くなる時期です。




この時期には離乳が終わっていて、自分で食べ物を見つけ、いろいろなものを口に入れるようになります。しかし、免疫系はまだ十分に発達してはいません。毎年、病原菌や寄生虫が原因で多くの幼い子どもたちが亡くなります。それは、もしかすると彼らが嫌悪感を抱いていないせいかもしれません。



大人でも気持ち悪いものを好む人はいます。時に私たちは、グロテスクな映画を見たり、ヌルヌルした食べ物を楽しんだりします。一体なぜでしょうか?



この問題の結論はまだ出されていません・・・しかし、研究者たちの間ではいくつかの仮説が立ち上がっています。そうしたものへの熱中は「悪意のないマゾヒズム」によるものと考えられているのです。つまり、脳がネガティブなものに喜びを見出す傾向のことです。また、問題を解決しようとする潜在的な傾向が、グロテスクなものを気にせずにはいられなくさせているという仮説もあります。




将来うまく自分を守るために脅威について学ぶことや、今その脅威を無効化することの有用性に関係しています。例えば、自分の子どもがケガをして、傷口から膿が出ていたとしたら、親はそれをよく調べて、手当てをしてあげないといけません。



2つの仮説は、どちらも正しい可能性があります。さらには、3つ目の仮説・・・汚いものは大人の免疫系にとっても良いものである可能性があるという仮説。



免疫系は庭師のようなものであって、私たちが毎日接している微生物という庭を管理し、良いものを維持し、悪いものを排除する役割を果たしているのです。つまり良い微生物は私たちの健康に大きな影響を与えるということです。



しかし、ほとんどの大人にとっては、何に嫌悪感を抱くかは文化や環境によって異なります。しかし、一部に共通するものもあるのです。



病原体が含まれるかもしれないものの多くは、普遍的に嫌悪感を抱かせます。排泄物、嘔吐物、開いた傷口、膿、腐った食べ物・・・これらすべてに共通しているのは、病原体に感染するリスクがあることです。



しかし、人類が先天的に嫌悪感を抱くようなものですらも、健康に良い影響を与える可能性があります。



グリーンランドやスカンディナビア半島北部などの北極圏に住む遊牧民は、腐った肉を日常的に食べるのです。それらはビタミンCを摂取し、壊血病を防ぐことができるといいます。彼らの食生活においてはごく普通のことで、嫌悪感を抱かせるものではないのです。




信じられないかもしれませんが、旧石器時代の食生活には腐った肉が不可欠だったのです。肉を腐らせることで、消化が容易になるだけでなく、pHが下がってビタミンC(アスコルビン酸)が保持されやすくなります。一方、より一般的な肉を加熱するという食べ方は、この重要なビタミンCを壊してしまうのです。古代の北極圏で腐敗した肉に嫌悪感を抱いた人々は、冬を越すことができなかったかもしれません。




嫌悪感が強すぎたり、見慣れない食べ物に対する強い抵抗があったり、文化的な教育を受けていなかったりすると、より冒険的な食事や生活ができず、同様の効果を得られない可能性があるのかもしれません。



西洋社会にエビを好んで食べる人は多いですが、コオロギなどの他の節足動物を食べることは嫌がる人が多いでしょう。



コオロギは他の地域では主要な食物であり、食べても何も問題はないのです。慣れた食べ物と違うだけなのです。最近では、環境に優しいたんぱく源としてコオロギを推奨する人も増えているといいます。



この世界と私たち自身をよりよく理解すべく、様々な分野の研究者が嫌悪感を探究し続けています。



嫌悪感とは、社会の均衡の一部です。弱すぎれば病気になりかねず、強すぎれば孤立してしまい、健康を害することすらあります。もしかしたら、この複雑な様相を解明していくことで、人間の様々な行動を読み解くことができるかもしれません。



私たちが嫌悪感を抱く対象はすべての分野に存在しますが、慣れが生じることもあります。



例えば、看護師は体液を扱うことに慣れています。ちょっとばかり気持ち悪いかもしれないものへの恐怖心は、何度も繰り返し触れているうちに薄れていきます。



なぜなら、死にはしないからです・・・