そして男は時計を捨てた・・・ひとり編集長の冒険

ブログ「そして男は時計を捨てた・・・」は、 みなさんの知らなかった知識や情報入手をお手伝いしていきます。ぜひこのブログを活用して、みんなで勉強していきましょう!画像のないテキスト中心のブログです👍毎日、記事更新中!土、日は更新多めです。たくさん更新するよ😚いろんな人たちにシェアしていってください👍1万記事を目指してひとり編集長はがんばります❗編集長と一緒に冒険しよう😊 

オミクロン株と「ギリシア語」の知られざる謎

f:id:Cupidpsyche:20211231093202j:plain




2021年5月31日に世界保健機関(WHO)は、議論を簡易化し、名前による偏見を取り除くために新型コロナウイルスの変異株の命名にはギリシャ文字を使うことにすると発表しました。




変異株は当初、発見された国名でthe UK variant(イギリス型)、the Indian variant(インド型)のように呼ばれることが多かったのですが、インド政府がそれに抗議したことも背景にあったのでしょう。実際にギリシャ文字を使ってこれまでに名付けられた変異株は以下のとおりです。




オミクロン株が発表されたときには、使用されなかったν(nu〔ニュー〕)とξ(xi〔クサイ〕)のことが話題になりましたが、ν(nu)は英語のnewとまぎらわしいためといわれていました。たしかにthe Nu variant(ニュー株)と言うとthe new variant(新しい変異株)と言っているように勘違いされそうです。その変異株が実際に新しいうちはいいですが、さらに新種の変異株が登場した場合、発音だけではthe Nu variantとthe new variant、どっちの話をしているのか混乱してしまいます😰




ξ(xi)については、中国の習近平(Xi Jinping〔シー・ジンピン〕)国家主席に配慮したのではないかと報道されていましたが、WHOの関係者によればBecause Xi is a common last name.(習というのは、よくある姓のため)なのだそうです。習国家主席だけでなく、世界の習さんのためということです。ウイルスの変異株に自分の姓が使われたら、誰だって嫌です。ひとり編集長だって😭




残るギリシャ文字はあと9つ。すべて使い切ったら、星座の名前を使うとか使わないとか言っている・・・😅the Cassiopeia variant(カシオペア株)とかthe Orion variant(オリオン株)、the Andromeda variant(アンドロメダ株)なんて呼ぶのでしょうか。では、順番はどうするつもりでしょう。もしかしたら黄道十二星座にして、the Aries variant(おひつじ株)から順に、the Pisces variant(うお株)まで進めていくのかもしれません。




英語のニュースなどを聞く方は知っているかもしれませんが、ギリシャ文字の発音は日本語と英語で少し異なるのです。英語ではどのように読まれるのかを見てみましょう。アメリカ発音とイギリス発音を英米語発音辞典を参考にしてみます。(カタカナ表記はあくまでも発音のイメージです)。英語でギリシャ文字を耳にしたときに、しっかり聞き取れるでしょうか。




まず初めの3つですが、発音ではα(alpha)とγ(gamma)の/æ/(エァ)の音に気をつけましょう。β(beta)はアメリカ英語とイギリス英語で母音が異なり、アメリカは/eɪ/(エイ)、イギリスは/iː/(イー)となります。tの音はアメリカでは弾き音の/ſ/(/d/や日本語の「ラリルレロ」に似た音)になることが多いですが、普通の/t/でも構いません。




日本語でも、ギリシャアルファベットの初めのほうの文字はよく耳にします。そもそもalphabet(アルファベット)という単語自体がα(alpha)とβ(beta)に由来しているのです。alpha version(アルファ版)、beta version(ベータ版)などは、ソフトウェアの開発にかかわったことのある方なら聞いたことがあるはずです。




さらにGeneration Z(Z世代:1990年代半ばから2000年代終盤までに生まれた人)の次の世代が、Generation Alpha(アルファ世代:2010年代から2020年代中盤までに生まれた人)と呼ばれているのも覚えておくとよいでしょう。




γ(gamma)も、さまざまな用例がありますが、個人的にgamma rays(ガンマ線)を浴びたThe Incredible Hulk(超人ハルク)がいちばんに思い浮かびます😅




ε(epsilon)は日本語では「イプシロン」と言うことが多いですが、発音としては「エプシロン」のほうが英語に近いです。アメリカとイギリスでアクセントの位置が異なります。アメリカでは第一音節の/ep/に、イギリスでは第二音節の/saɪ/にストレスを置きます。ζ(zeta)とη(eta)の発音は、β(beta)と同じ法則です。




三角洲(河口に堆積してできた扇形の陸地)のことを英語ではdeltaと言いますが、δ(delta)の大文字Δが三角形であることから、そのように呼ばれるようになりました。ちなみにアメリカの航空会社Delta Air Lines(デルタ航空)は、ルイジアナ州で創業したようで、ミシシッピ川の三角洲にちなんで名付けられたのだそうです。日本語ではデルタゾーンなんて表現もありますが、これも三角形にちなんでいます。




ζ(zeta)はとくに英語では使用例が思いつきません。しかし、日本語の「機動戦士Ζガンダム」がいちばん身近な用例です。ε(epsilon)も、あまり用例が思いつきません。自動車でLancia Epsilon(ランチア・イプシロン)というのがあります。η(eta)は、残念ながら英語でも日本語でも何も思いつきません。




次のθ(theta)からμ(mu)まで!


ι(iota)は日本語では「イオタ」と言いますが、英語ではiを/aɪ/(アイ)と発音します。それから、oはアメリカでは/oʊ/(オウ)、イギリスでは/əʊ/(エウ)と読みので、iotaは「イオタ」ではなく「アイオウタ」のように発音します。ただ、最後のtはアメリカでは弾き音になることが多いです。




θ(theta)はβ(beta)と同じ法則です。初めの子音はthですので、軽く舌を上の前歯に添えて出す音/θ/(ス)です。お気づきかと思いますが、この発音記号/θ/がまさにθ(theta)です。κ(kappa)とλ(lambda)は、/æ/(エァ)の音に注意し、λ(lambda)はlamb(子ヒツジ)の読み方と同じようにbは発音しません。




用例で思いつくのはθ(theta)が発音記号のほかに、数学で角度を表すことです。それからμ(mu)が国際単位系の10-6(100万分の1)を意味する「マイクロ」を、λ(lambda)が電磁波の波長を表すことなどです。また、スポーツ用品の「カッパ」ブランドは、ギリシャ文字のκ(kappa)に由来します。意外に多くのところでギリシャ文字が活用されているのです。




iotaは、実際の英会話で、慣用句として登場することがありますので、ぜひ覚えておいてください。ι(iota)がギリシャ文字の中でいちばん小さいことから、英語ではnot … [ an / one ] iotaで、「少しも~ない」という意味を表します。




例文

There was not one iota of truth in his story. (あいつの話には真実などみじんもない)
I don’t think that would make an iota of difference. (そんなんじゃ、なんにも変わらないと思うけど)


この表現は、iotaを使って打ち消しを強調しています。強く否定しているニュアンスとなります。また、トーンによっては皮肉っぽく響くこともあるのです。




次はν(nu)からρ(rho)までを見てみます。ο(omicron)はここに入っているのです。




英語ではξ(xi)とπ(pi)のiを/aɪ/(アイ)と読みます。ξ(xi)の子音xには4通りの読み方があり、/s/(ス)という音で読んで「サイ」、または/ks/(クス)と読んで「クサイ」とする方法です。それから、それらを無声音から有声音にして「ザイ」「グザイ」とする方法です。




いま話題のο(omicron)も発音が4通りあります。アメリカでは第一音節のomにストレスを置きます。発音は、/ɑːm/(アーム)と/oʊm/(オウム)のどちらでも構いません。イギリスではアメリカ英語のように第一音節にストレスを置くときには/ɒm/(オム)と発音します。第二音節のiにストレスと置くときには/aɪ/(アイ)と読みますので、/əʊˈmaɪkrɒn/(エウマイクロン)のようになります。日本語の「オミクロン」とだいぶ違っています。




このο(omicron)ですが、oとmicronに分けてみると語源がわかります。先ほどμ(mu)が「マイクロ」という単位を表すのに使用されると言いましたが、この「マイクロ」はギリシャ語で「小さい」という意味のμικρός(mikrós)に由来しています。日本語でも、「マイクロ」や「ミクロ」を「小さい」という意味で使います。つまり、ο(omicron)は「小さいo」という意味です。




なぜ「小さいo」と言うのかというと、その反対に「大きいo」があるからです。それがギリシャアルファベット最後の文字ω(omega)なのです。こちらもoとmegaに分けてみると!mega(メガ)は日本語でも使います。これは「大きい」という意味なので、ω(omega)は「大きいo」という意味なのです。




π(pi)はもうおなじみですが、数学では円周率を表します。英語にはperimeter(平面図形の外周)、period(周期)、peripheral(周辺の)のように、peri-という接頭辞がつく単語がいくつかありますが、このperi-はギリシャ語に由来してaround(周)という意味を表します。この頭文字π(pi)を使って円周率を表すことにしたみたいです。




最後、σ(sigma)からω(omega)まで!


φ(phi)とχ(chi)、ψ(psi)は、π(pi)と同じ法則です。すべて母音のiは/aɪ/(アイ)と読みます。τ(tau)は母音auの読み方にバリエーションがあり、/aʊ/(アウ)、/ɔː/(オー)、/ɑː/(アー)とどれで読んでもよいです。υ(upsilon)はアメリカでは3通りで、初めの母音uにストレスをおいて、/uː/(ウー)、/juː/(ユー)、または/ʌ/(ア)と発音します。残りはε(epsilon)と同じ法則です。イギリスでは、ε(epsilon)同様に/saɪ/(サイ)にストレスを置くことが多いです。




ω(omega)はギリシャ文字の中では有名な文字であるせいか、発音のバリエーションも多いです。アメリカでは第二音節にストレスを置きますが、そのeは/eɪ/(エイ)、/e/(エ)、/iː/(イー)というように3通りの読み方があります。イギリスではoが/əʊ/(エウ)とイギリスふうになる以外は、基本的に同じでeの読み方が3通りです。それに加えて、ストレスを第一音節に置いて/ˈəʊmɪɡə/(エウミガ)と発音する場合があります。




φ(phi)やχ(chi)、ψ(psi)の英語でのスペルを見ると、ギリシャ語が英語に影響しているのがわかります。不思議なつづりをする単語には、ギリシャ語が語源のものがあります。例えば、/f/という音をfではなくphでつづるもの。physical(物質の、肉体の)やtelephone(電話)のphはたどっていくとギリシャ文字のφ(phi)です。




chを/k/と読むものはχ(chi)につながっている可能性が高いです。例えば、chorus(コーラス)やchemistry(化学)のchもχ(chi)から来たものです。psという不思議なつづりはψ(psi)に由来します。psychology(心理学)がその一例ですが、この単語にはpsだけでなく、chまで入ってます。pseudo-(偽の)という接頭辞もψ(psi)から来ています。pseudo-intellectual(似非インテリ)やpseudo-Japanese(偽日本ふうの)などのように使います。




ちなみに実はChristmas(クリスマス)もχ(chi)につながっているのは、知っていますか。Christ(キリスト)のことをギリシャ語ではΧριστός(Christós)と書くそうで、この頭文字χ(chi)でChristを表してXmasと表記するようになったようです。Χριστός(Christós)の初めの2文字χ(chi)とρ(rho)を組み合わせてChristを表す記号とすることもあるようです。




このXmasという表記、意外に長い歴史があるようで、英語圏では19世紀後半ごろから広く使われるようになっていったそうです。ただ、現代ではあまり一般的ではありません。このようにChristと省略してつづるのはあまり好ましくないという意見もあるようです。イギリスやアメリカで目にすることはほぼありません。カードや店頭などでも、きちんとChristmasと書くのが通常です。しかし、日本ではよく目にします。




σ(sigma)には小文字が2つありますが、通常はσを使用します。語末でのみςと表記するそうで、このςはファイナルシグマと呼ばれています。先程のΧριστός(Christós)を見てみると、真ん中のsはσですが、語末のsはςでつづられています。小文字のほうはあまりなじみがないかもしれませんが、大文字のΣはよく見かけるはずです。エクセルにもΣボタンがありますが、見たことがありますか。数学で出てくるΣは、総和(summation)のsを表しているらしいです。




先程のようにω(omega)は「大きいo」という意味です。ο(omicron)は短母音、ω(omega)は長母音という区別のために2つのoができたようです。




ω(omega)については、新約聖書(the Christian New Testament)の「ヨハネの黙示録(the Book of Revelation)」に登場する表現も覚えておくといいでしょう。主の言葉として「私はアルファであり、オメガである(I am the Alpha and the Omega.)」という文があります。ここではα(alpha)とω(omega)がギリシャ文字の始まりと終わりであることから、「すべて」「永遠」という意味を表しているようです。つまり、「神は永遠である」と解釈されているのです。ギリシャ文字でΑΩのように記して、このAlpha and Omegaを表すこともあるようです。




健康を気にする方は知っているω-3脂肪酸。ここでもω(omega)が使われています。サプリメントのフィッシュオイルに含まれているEPAやDHA、エゴマ油やアマニ油などに多く含まれています。このω-3脂肪酸の効能は血流改善や心疾患予防、認知症予防やコレステロール低下など、さまざまうたわれています。




コレステロールと言えば、気になる「メタボ」。英語にするとmetabolic syndrome(メタボリック・シンドローム)ですが、なんとこれも語源がギリシャ語なんです! metabolism(代謝)は、ギリシャ語のμεταβολή(metabolḗ:メタボレー)から。これは「変化」という意味。syndrome(症候群)は「同時発生する症状」という意味のσυνδρομή(sundromḗ:シュンドロメー)からです。




年末年始は年越しそばに日本酒、おせちにもちなどおいしいものが目白押しです。お正月は古代ギリシャに思いをはせながら、謹んでみたらいかがですか?😉