買ったばかりの真っ白のノートをひろげて
書きたいことは山ほどあるような気がして
目は宙を泳いだまま
そして、言葉がうまく紡ぎ出せずに困っている…
言葉を紡ぎ出し、おくりとどける人になんてなれない…
例えば、日記など書こうものなら…
あ〜と、ため息がもれてしまう
それにしたって、自分の日常は
思ったよりつまらなく、あきれかえるほどの白…また白…
誰が読むの…やめてしまえば…
それでは、小説なんていかがでしょうなんて…
あわよくば、賞でも狙って…
それにしたって、自分の文体は
あたりまえだけど、とてもおもしろくなんかなさそうに、芥川龍之介は頬杖ついて大アクビ…
例えば、句をたしなんでみられるというのは…
ペンを舌先でなめてスラスラ…
それにしたって、自分の筆は
呆れるくらい字あまりが多そうで、松尾芭蕉はとっくにくたびれて石に腰掛け待ちぼうけ…
スラスラ、スラスラ…ユラユラ、ユラユラ…
あげくの果てに、詩だなんて言い出す始末…
ねぇ、ランボー…こんな時、詩人ならば、どうするの?
やめてしまえば…
そのまま閉じられたノ─ト
買ったばかりの真っ白な僕のノート
どうせ日常はアレコレ忙しいから、放ったらかし
書きたいことなどはなから、ないように
開かれなくてもノートはノート
ただ、ノートが欲しかった
言葉なんていらないの…それがキミを救うことはないの…
それが人生
ただ、ノートが欲しかった
ささやかながらも、それが幸せ…というもの
真っ白な僕のノートに
言葉なんていらないの…それがすべてを変えることはないの…
変えてくれるのは、言葉じゃないもっと遥か別のもの…
それを探し出すために
なんて…カッコつけて
けれどカッコつけるなら、もう一度…
そこにあるは、書かれることのない真っ白な僕のノ─ト