「ピカソの 遺体」が 投げかける アートの 観光化への 批判
ARTnews JAPAN
先週マドリードで開催された現代アートフェアARCOで、来場者の注目の的になったのは、アートの歴史に大きな足跡を残すパブロ・ピカソの「遺体」だった。
パブロ・ピカソの遺体を模した2017年の彫刻作品《Aquí Murió Picasso》(「ピカソはここで死んだ」の意)は、スペインのアーティスト、エウヘニオ・メリーノが制作したもの。Los Interventoresのキュレーションで、ADN Galeriaのブースに出展された。
本作の着想源はピカソの実際の遺体ではなく、白地にブルーのボーダーシャツと白い麻のパンツにエスパドリーユという、多くの人が思い浮かべるピカソのイメージだ。また、ピカソの身長は162cmほどとされるのに対し、彫刻の大きさは180cmを超える。
スペインのEl País紙によると、この彫刻には初日から「来場者が群れをなした」という。また、La Vanguardia紙はこの作品を「死のおみやげ化」、「自撮り中毒者がおびき寄せられる場所」、「インスタグラムで確実に『いいね』をもらう方法」などと皮肉を込めて評している。