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シェイクスピア戯曲「マクベス」にみる“帝王切開”の歴史 産婦人科医が注目した中世の記録


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シェイクスピア 戯曲 「マクベス」に みる “帝王切開”の 歴史  産婦人科医が 注目した 中世の 記録
早川智

 

 

『戦国武将を診る』などの著書をもつ産婦人科医で日本大学医学部病態病理学系微生物学分野教授の早川智医師が、歴史上の偉人や出来事を独自の視点で分析。今回は、ウィリアム・シェイクスピア“4大悲劇”の一つ「マクベス」にみる帝王切開を「診断」する。

 

 

*  *  *

 英国文学史上最大の天才は16世紀後半のエリザベス朝に活躍したウィリアム・シェイクスピア(1564~1616)であろう。筆者の愛奏するジョン・ダウランドやアンソニー・ホルボーン、トマス・モーリーなどの曲が劇中で演奏されたり、戯曲の一節が流行り歌になったり親しみが深い。彼の作品38編のうち、特に「ハムレット」「オセロー」「マクベス」「リア王」をして“4大悲劇”という。なかでもマクベスは人気で、我が国でも故・蜷川幸雄氏演出の舞台はご覧になった読者も多いだろう。

 

 

 中世スコットランド、徳高いダンカン王の家臣で勇猛な武将マクベスは凱旋からの帰路、「泡」のように現れた3人の魔女から、彼がコーダの領主そして王になること、戦友のバンクォーはその子孫が王になると告げられる。予言を受けて王座への野心に燃えたマクベスは主君ダンカンを殺害、王の従者に罪をなすり付け、さらにバンクォーを殺害する。宴会で血まみれのバンクォーの亡霊を見たマクベスは、「血の流れにここまで踏み込んだからには、もう引き返せない」と思い切る。やがてダンカン王の息子マルコムと妻子を殺された有力貴族マクダフは、森が動くがごときイングランド王国軍の助勢を得てスコットランドに侵入してくる。

 

 

■マクベス第5幕8場

 

【マクベス】
貴様の剣ではわしは斬れぬ。
いくら振るっても空気を切るようなものだ。
雑兵どもの血は吸っても我が栄光ある紋章には刃が立たない。
何といってもわしの命は魔法で守られている。
女から生まれた者にわしは殺(や)れぬのだ。

【マクダフ】
お前の呪いなど知ったことか。
お前が頼みとしている天使でも悪魔でも聞くがよい。

 

このマクダフは母の腹を切り裂いて
月足らずで生まれてきたのだ。
お前の命を奪うためにな。

 

 

 マクベスの台詞(せりふ)を原文で読むと、女から生まれたというところ“to one of woman borne”となっている。be bornで使われるので忘れがちだが、もともとは他動詞bear(運ぶ 転じて 産む)の過去分詞から転じた形容詞で母親によって積極的に産んで貰ったという意味になる。これに対し、マクダフは“Macduff was from his mother’s womb, untimely ripped”、すなわち母の子宮を誰かが切り開いて取り出した、と反論する。このuntimely を文字通り、時期を得ずにつまり、月足らずにとする解釈も多いが、妊娠診断薬も基礎体温ももちろん超音波診断もないシェイクスピアの時代には分娩予定日の決定はできない。ここは、死んだ母親の胎内からというのがシェイクスピアの真意であろう。

 

 


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