「私の事、好きですか?」
そう、問いかけてみた。
亭主の言葉がこだまする空のカウンター。
賑わいをみせた日の事は遠い過去へと追いやられ、問いかけた言葉は壁に跳ね返って亭主の胸に突き刺さる。
「たまには顔を見せてください・・・」
自分で飲むために自分で開けるグラス。
静けさが音を立てる店・・・
誰も来ない店・・・
そんな店を開けて、ただ待つのはつらいですよ・・・
最後の店の夜。
精一杯のもてなしを貴方へ・・・
もう一度、問いかけます。
「私の事、好きですか?」
何故、こんな事を聞くのかですって?
ただ、気を引いてみたかっただけなんですよ・・・