あの娘もあいつも下むいて指を動かしている…
何をさっきから真剣そうに…リズミカルな動き…
誰も何も言わない…
それはルール…沈黙の時代のルール…
当然だと言わんばかりに沈黙にならされすぎてしまった子供たち…
口なんていらない…
食べるとき飲むとき、息を吸うとき以外いらない…
おしゃべりならいつもしている…画面のなかで…
今日もボクらがうつむくのは悲しいからじゃない…
折れるまで指を動かしていたいから…
ひと昔前なら、その姿は滑稽…
シーッ!物音を立てないで…
しゃべりかけて邪魔しちゃいけないよ…
あの娘もあいつもうつむいておしゃべり中なんだから…
イライラする子供たち…うるさい、うるさいと…
時計の秒針…うるさい…
心臓の鼓動…うるさい…
あの娘の助け声…うるさい…
アイツの助け声…うるさい…
沈黙…
沈黙だって同じだ…うるさい…