あれは遠い昔…
強い風がどこからともなく吹いてきて
妹は吹き飛ばされ
弟は投げ飛ばされ
兄だけ隠れて、ただひとり・・・
誕生日おめでとう・・・
誕生日おめでとう・・・
ゼンマイを巻いて
同じ言葉を繰り返すだけのオモチャが
クルクル、クルクルと回り過ぎて
めまいを起こして倒れこんだ先に見えた
誰にも食べられることのないバ-スデイケ-キ…
誰にも吹かれることのないロウソクの灯が揺らめいている
いまさら誰がための誕生日おめでとう・・・
サイコロを転がして出た目の数だけ
進んで戻って、進んで戻って・・・
また会えるはずと思いながらの進んで戻って・・・
風はとっくに止んでいるのに
兄はやっぱり、隠れ続けてただひとり
誕生日おめでとう・・・
誕生日おめでとう・・・
いまさら祝う相手もいないのに
誰がための誕生日おめでとう・・・