今こうしているときでさえ、君を利用しようとしている
あざやかな手口を使って…
君の若さすべてが眩しくて、後ずさりしてしまいそうになって
思わず足をすべらせた小説家
それは恋でもなくて、愛でもなくて、じゃあ、何なの?
それは私にインスピレーションをあたえてくれる
脳を揺さぶる刺激…心を激しくかき乱す刺激…
今日だっていろんな色彩の中で踊る君はきれい
そこに伸びる希望、未来、幸福、明日の影
どうぞ、動かないでほしい…
それをたぐればスラスラと言葉は生まれてゆく
赤子の誕生…懐かしい匂い…祝いたい…
墓の中、遥か眠りについていた言葉たち、拾い集めて壮大な物語を紡ぐ…
けれど、私は自分の正体を明かさない…明かせない…
君の肩に雨粒がポツリポツリ
雨が降ってきたようだね…濡れるといけないから、もうおかえり…気をつけて
君の背中が遠ざかれば、残される醜い残骸…誰も見向きなどしない
1日のおわりは駆け足で過ぎ去り、思いおこすころには、
きっと、雨はもっと激しくなっている…
君にとって、私にとって、ふたりは何者?
明日も君にあいたい…君も同じ気持ちだろうと思う
それはもうすぐ完成する…
けれど…もう遅い…
君の目の前にいた小説家は悪党だよ
君の純真さをもて遊ぶ者は悪党だよ
もう私には時間がない…